幼児化する日本社会

幼児化する日本社会 榊原英資 東洋経済新報社
筆者の言いたいことは、最終章「二分割思考は知的退行」に凝縮されている。
金澤一郎(脳神経内科 脳を活性化するための3つのアドバイス
カール・ポパー(英国 哲学者 批判的合理主義)
ロバート・ルービン(元米国財務長官
のことばが紹介されている。示唆に富む。


・解答は必ずしもない(答えがあるとは限らない)
・常識を疑え
・部分的なもので全体を測るな
以上は金澤のことば。
重要なことは一面だけでなく前後左右から見て得た情報をどう統合して
全体像をとらえるかだ(細分化された情報の統合)。
・暫定的な答えはある。ただし、それはいつでも覆る。
・新しい情報や新しい事実がわかったとき、
 以前の考えを修正、更新していくことができる社会をオープンソサエティという。
カール・ポパーは完全なるものをもとめよりよい知識を得る努力を説く。
・世の中に確実なものなどない。すべて確率論だ。
・あらゆる情報を耳に入れたうえで判断する。
・決断を下さなければいけないが、それは常に暫定的な結論だ。そのときのベストの結論。
ロバート・ルービンは、「確実なものなどない」と言っている。


今、メディア(なかでもテレビ)、政治は二分割思考でわかりやすさに走る。
わかりやすさには落とし穴。
二分割思考には、短絡があり原理主義、ファッショに向かいやすいと警告。
テレビの反知性主義にも警鐘をならす。


筆者は日比谷高校の同窓生。2学年上のようだ。
この時代の日比谷は知的でなければ「おいてけぼり」をくう雰囲気だった。
僕はおちこぼれだったが、このひとはエリートコースをまっしぐら。
大蔵省財務官、ミスター円