ある小さなスズメの記録

1940年の空襲に曝されていたロンドンでキップス夫人(著者)に拾われたイエスズメの雛(雄 左足に障害をもって生まれた クラレンス)の物語。12年にわたる共同生活の記録。「刷り込み」のためだろうが、このスズメと著者は人格的に対等。クラレスの音楽的な能力(独創的な囀り)や感情表現の豊かさ、雄としての誇り高さに驚いた。しかし彼の全盛期よりも晩年の過ごし方に感心した。脳卒中を患ってからの懸命に生きようとする姿と尊厳に満ちた死。大いに参考にしなくてはならない。おすすめの1冊。
ある小さなスズメの記録 クレア・キップス著 梨木香歩訳 文藝春秋