震える山

丸谷才一さんが「快楽のミステリー」に挙げてた「震える山」はポール・ソマーズ(1959)だったが、図書館検索でヒットしたのはC.J.ボックス(2010)のものだった。マッイイカと読みだしたらとまらなくなってしまった。
主人公はワイオミング州トゥエルヴ・スリープ郡の猟区管理官ジョー・ピケット。隣地区の猟区管理官が44マグナムをくわえ自殺。その後任に命じられジャクソンに向かう。ジャクソンは、グランド・ティートン国立公園やイェローストーン国立公園の入り口にあたる米国でも有数の観光地。この地区はセレブ達が集まるリゾート地であるとともに、広大で荒々しい自然があり、現代の西部が抱える様々な問題をかかえる。過激な動物保護運動や違法な狩猟、そして金と権力の亡者とも言える開発業者。前任者の自殺の原因を探るうちにさまざまな難問に巻き込まれていく。現代版西部劇といった感じ。ジョー・ピケットのキャラクターに魅せられた。
ジョー・ピケットシリーズは鉱脈を掘り当てたような感じだ。
震える山 C.J.ボックス著 野口百合子訳 講談社文庫