セラピスト

心理学というのは僕にとって遠い世界のことで、心理療法とかカウンセリングには胡散臭さ(折伏されるような)を感じていた。僕自身深いうつを経験したが、カウンセリングには頼ろうとはしなかった。心の病を脳のオーガニックな機能障害と考える方が理解しやすかったから。機械屋のせいかなあ。
この本は心の病に向き合うセラピスト(心理療法の施術者)やその効能についてのルポルタージュ河合隼雄中井久夫箱庭療法風景構成法についてレポートでもある。心の中を可視化し、セラピストはクライエント(患者)に寄り添いながら自らが気づくのを待つ。この世界の奥深さというか不思議さを感じながら読んでいった。
著者は、この取材の最後期に心の不調を訴え町の神経クリニックにかかったことを記していて驚いた。
読むのに苦労したが印象深い一冊となった。

セラピスト 最相葉月著 新潮社