月日の残像

ふたりの洋子さん(小川洋子 平松洋子)の推す随筆集。当代一の脚本家が80年の人生を振り返る35編。その時代の空気感を感じさせる。僕よりすこし前の時代だがおぼろげにその感じはわかる。著者のさまざまな想いが印象的だ。印象に残ったいくつか。
・ひっそりとした生き方が自分には合っている。
・読書の大半は忘れている。
寺山修司と早稲田で同級だった。彼は母親像を創作した。
・高校時代に湯河原から小田原に通う汽車から相模湾の印象。
・助監督として木下恵介を支えた。当時の脚本家は下働きにすぎなかった。
フェルナンド・ペソアポルトガル 詩人)の言葉が印象に残る。
 アミエル(19世紀 スイスの哲学者)が何冊も著作があることを自慢していることが気に入らない(苦痛に感じる)と。

月日の残像 山田太一著 新潮社