新・観光立国論

日本の人口は1966年に1億人を超えて約40年間かけて2800万人の増加を見たが、これから約40年をかけて2800万人減少して1億人にもどる。1966年の65歳以上の構成比は6.5%だったが、1億人にもどる2050年は38.5%となる。異次元の高齢化をむかえる。工業生産力モデルからのパラダイム・シフトが必要だ。その有力な手が観光立国だというのがこの本の言いたいところ。観光はレジャーだけではなく、統合型リゾート(IR)、医療ツーリズムやアグリツーリズムなど。お手本は、シンガポールやオランダ、デンマーク、スイスなど。中でもシンガポールがすごい。広さは東京23区より少し広い程度に540万人が住み、1人あたりのGDPは5.6万ドル(日本は3.6万ドル)だという。リー・クアンユーのリーダーシップのもとで成し遂げた。寺島実郎の主張に多くは賛同するが、なにか弊害はないのか、いいことばかりではないのではないかとまゆに唾する。

新・観光立国論 寺島実郎著 NHK出版