昭和のスーパー・エンジニア 森口繁一

僕が入社した1966年頃、品質管理とデミング賞、OR、プログラミング、数値解析などが喧伝されていた。その第一人者として森口繁一教授(1916〜2002年)の名を耳にしていた。工学系トップの東大工学部航空学科で「東大工学部の30年に一度の天才」だそうである。その弟子がヒラノ教授(著者・今野 浩)。師の業績を紹介する一方で当時トップレベルの頭脳集団(数理工学)の動き、秀才たちの群像を描いている。森口教授の業績・人柄はすばらしいが、取り巻く人間関係は複雑でドロドロ。研究者同士の不和のエピソードを暴露している。そして自分の金融工学での業績を我田引水で自画自賛。面白うてやがて悲しき・・・・・という感想。

工学部ヒラノ教授と昭和のスーパー・エンジニア 森口繁一という天才 今野 浩著 青土社