山の郵便配達

短編小説を読み継いでいる。表題作は老郵便配達員が息子に仕事を引き継ぐ日の物語。3日がかりで山々を越え山峡の村々に配達して回る。美しいバックに犬とふたりのシルエットが浮かぶ。スマホの時代になってどうなっているだろう?他の5編もちょっと前の中国と中国農民の暮らしぶりを描いていて印象的。洞庭湖を舞台にふたりの女漁師の話も映像的にすばらしい。広州と内陸部の格差というか、広州がいかに中国農民を狂わせているかを活写している。深い山々の光景と深圳での地すべり事件のギャップを思う。

山の郵便配達 彭 見明著 大木 康訳 集英社