小倉昌男 祈りと経営

クール宅急便の車両開発をしている時(1984年頃)に冷蔵庫を搭載した試作車を銀座のヤマト運輸本社に持ち込んだ。その時に小倉社長にお目にかかった。カリスマというより実直なオジサンという感じの方だった。その小倉昌男さんが社長・会長をリタイアしてから福祉に転じられたのを知って意外な感じをもった。この本の著者の執筆動機もなぜ小倉さんが福祉に多額の寄付をして財団を設立しのかにあった。名経営者であり敬虔なカトリック信者という人物にも秘められた暗部があったことが明かされる。それは家庭的な不幸。奥さんと娘さんの確執。それも精神疾患精神障害があったことが明かされていく。この本はちょっとスリリングなところがある。ただのボランティア精神からの活動ではなかったのだ。感銘を受けた。

小倉昌男 祈りと経営 森 健著 小学館