彼女の家出

僕は平松洋子さんのエッセイが好きなのだ。ヨウコさんと言えば、内田洋子、小川洋子群ようこ岸本葉子、以前は佐野洋子もいた。どのヨウコさんも文章が達者だ。平松洋子さんのは季節感があり、気っぷがいい。食べ物の話はいかにも美味そうだし、日常の暮らしぶりは彩りと空気の流れが感じられる。東京の街歩き(中央線沿線や高田の馬場、早稲田、神田神保町など)、喫茶店、お気に入りの食べ物屋の紹介がとてもいい。何より食べっぷりがいい。暮らしぶりもメリハリがあっていい。32編のエッセイを愉しんだ。僕は東京を離れて久しい。懐かしさでいっぱいになった。

彼女の家出 平松洋子文化出版局