だんじり祭り

祖父母が住んでいた泉州岸和田の秋祭り。すっかり全国版になった。
今年は9月16日が宵宮、翌日17日が本宮。
僕は小学校に入学するまで祖父母のもとで育ち、その後の夏休みはいつも岸和田で過ごした。
夏休みが終わる頃になるとあちらこちらの町のだんじり小屋から太鼓の音が聞こえてきた。
太鼓は「とんことん とんことん」というゆったりした調子と「とことん・とことん・とことん」と
いう走るときのハイテンポなものなどいくつかある。
子供たちは太鼓の音を口真似しながら小さなだんじりをひっぱった。
各町は自慢のだんじりを持つのだが、祖父母の住んだ岸城町は城下の町のためだんじりを持たない。
いつも悔しい思いをしたものだった。従兄弟は岸和田生まれ、岸和田育ちで若頭をつとめた。
それぞれの町からでただんじりは町をねりまわした後、お城近くの岸城神社へ「宮入り」する。
町角では勢いをつけて曲がる「やりまわし」。
大屋根の上では白装束の大工方が派手な身振りで飛び上がる。
岸和田は漁師や大工や町人の町で気が荒く、けんか祭りの別名もあった。
この頃になると胸騒ぎする。しかし「故郷は遠くにありて思うもの」、すっかり足が遠のいてしまった。
ワタリガニがごちそうだった。祭りが終わると秋が深くなる。