さよなら、サイレント・ネイビー

さよなら、サイレント・ネイビー 伊東 乾著 集英社
サイレント・ネイビーとは、大英帝国海軍の伝統的美徳。日本の海軍もそれを受け継いだ。
あれこれ政治に口を出す陸軍と違い、海軍は黙って任務を遂行し失敗してもあれこれ言い訳
をせず黙って責任をとる。
この本のテーマはオームというあだ花とマインドコントロール
オームが引き起こしたサリン事件の犯人たちを死刑に処することで一件落着とせず、
きちんと再発防止策につなげるべきと主張する。
誰もがマインドコントロールの毒牙にかかれば、道を誤る危険性がある。
東京大学大学院素粒子研究室という超エリートで筆者と実験パートナーだった親友が
サリン事件の加害者になってしまう。一歩間違えば、それは自分だったかもしれない。
失敗学の立場からも、その経緯を克明に記録し分析して再発策をうちたてなくてはならない。
サイレント・ネイビーであってはならない。このままでは、また起きうる。
脳科学が注目されている現代、このマインドコントロールという世界をもっと解明することを願う。