菜の花忌


司馬遼太郎の命日(2月12日)を菜の花忌という。
故人がその花を愛し、自宅(いまは記念館)の庭に植えていた。
菜の花の沖」という作品があるから、そう名づけたのだろう。
この花のイメージは、庶民性と冬から春へかけた明るさ、輝き、開放性ということにあろう。
菜の花の沖」は高田屋嘉兵衛を主人公とした歴史小説
淡路島の菜の花畑を背景に北前船が停泊しているところが、安野光雅風スケッチのように思い浮かぶ。
北前船蝦夷地から持ち帰った干し魚が肥料になって菜の花が育つ。
菜の花畑は消費地・大阪の周辺に多い。
僕は泉州生まれだが、この地では菜の花のおひたしや漬物がポピュラーだ。
今日は、司馬遼太郎の人柄をしのんで「司馬遼太郎という人」を読んでいる。


司馬遼太郎という人 和田 宏著 文春新書


「はじめに」にこうある。
司馬さんはみごとな人であったとしかいいようがない。
類まれな天稟(てんぴん)に恵まれていたが、それ以上に私が感動するのは、
常日ごろ自己を律する姿勢の厳しさである。努力の人であった。