荒野へ

ひとりの若者がアラスカの原野に置き去られたバスの中で餓死していた。
彼がなぜここで死んだのか、川を遡上するように生前の彼の放浪の足跡をたどる。
接触した人たちに、強い印象を残して去った若者への挽歌。
理性的で行動力も教養もある若者が、どうしてこういう行動(十分な装備を持たず、あえて
それを捨てて不毛の原野をめざした)をとったのか。ミステリ小説のよう。
なぜ彼は両親との間に大きな亀裂を生じたのか、彼が大切にしたこととはなにか。
ジャック・ロンドンの放浪記、Hobo(ホーボー 仕事を探しながら列車をただ乗り
して各地を転々とする放浪者)の影響なのか。
荒野へ ジョン・クラカワー著 佐宗静夫訳 集英社文庫