渋滞学

渋滞学 西成活裕著 新潮選書
サグ現象。ゆるい下り坂がゆるい上り坂に変わるところでは、
スピードが落ちて車間距離がつまる。
のろいクルマの後につくと、ブレーキを踏んでしまう。
それが渋滞を発生させる。
渋滞を自己駆動粒子(人間の感覚が渋滞現象に影響をあたえる)として
科学的にメカニズムを解析しようとしている。
ほかにも人の渋滞、アリの渋滞(フェロモン効果)、電車やバスのダンゴ運転
など興味深い渋滞現象を紹介している。
ヒトやクルマが双方向に情報交換できれば解決(集団で協力しながら進む交通システム)
しそうだが・・・。
双方向というのがミソだが、これがなかなか難しい。


渋滞の思考は、いろいろな現象に反映される。
興味深い話題が提供されている。
ルーティング問題、デジタル思考と微積分の連続思考、複雑系の理解のしかた・・・・。
終章とあとがきで、筆者は「理学と工学の乖離」に懸念を感じ、両分野の橋渡し
のできる人材の必要を訴えている。同感。