Google が消える日

Google が消える日 情報学序説 小山雄二著 カナリア書房
本のタイトルに惹かれて読み始めた。
著者は、反Google派でYahoo擁護派とお見受けする。
Google帝国をモンゴル帝国に擬している。
モンゴルは情報戦術に長けていて戦わずして民を支配。
幹線道路網を整備して自由交通を保障し関税を撤廃して版図拡大。
そういえばローマ帝国も敗者をとりこみ版図拡大をした。
Google は世界の知を集め、無償の検索エンジンでそれを提供し版図拡大。
しかし人を集めた上で、ある日突然広告という網をかけて集金マシーン化。
広告業への転換は、客観性を信じたユーザーへの裏切りだと厳しい。
さらに、広告業は「謀略と欺瞞の固まり」と決め付け、
Google のビジネスモデルは広告業を一歩も抜け出ていないと糾弾。
情報化社会の旗手にあらず、工業化社会の最後のランナーだと手厳しい。
一方、Yahoo のコミュニケーション重視の経営方針を評価して
Yahoo に期待しているが、僕にはそんなに大きな違いがあるとは思えない。
どちらにしろ、個人情報を握られて、ジョージ・オーウェンの1984年的
世界になるのは回避したい。
現在、無法地帯化していく情報社会をどうしていくのか。
著者は、個人情報の活用と保護を両立させる情報技術の必要性を訴えるが、
僕には「何をどうすればよいのか」見えてこない。
いろいろ問題提起をしてくれたが、将来の姿は見えてこなかった。
一極集中ではなく、いくつかのコアが競い合うのがいいように思う。
いくつかの選択が可能な世界がいい。