はじまりはセントラルパークから

アーウイン・ショー(アメリカ 1913-1984)の晩年の小説。原題は Bread Upon The Waters(報酬をあてにしない善行)。訳書の題も原題もよくこの小説を表現している。
ニューヨークの荒れた公立高校の歴史教師一家はセントラルパークで暴漢に襲われた大富豪で豪腕弁護士を救ったことから生活が激変する。と同時にそれまで隠されていた家族関係が壊れていく。弁護士の報酬をあてにしない善行が、その原因。弁護士の家庭は崩壊していて、教師一家に憧れを持ったのだった。家族と言えどそれぞれの価値観で生きていくということ。
1980年代のアメリカ社会がよく描かれた秀作だと思う。