技術大国幻想

帯に「技術では負けない!」という思い込みを捨てよとあり、この本を手にした。
著者は福島第1原発事故調査委員会の委員長。事故当時何が起こっているのかきちんと把握できていなかったこと。自分の頭の中に事故のモデルすら持っていない人によって運営されていた(ヤッパリ!)。危機管理がなってなかったと総括している。30年間は原発はありえないと明言。
この本では技術大国幻想に陥った現況を俯瞰し、今後のあるべき方向を指し示している。デジタル化によって産業構造やビジネスモデルが大きく変化している。日本は脳天気だ。品質がよい made in Japan の工業製品は黙っていても売れるというのは幻想にすぎない。品質幻想と職人幻想。ものの価値に目を向けよ。三過剰(過剰な機能、過剰な品質、過剰な生産)からの脱却。大事なことは変化への対応力。自分自身で状況を把握し自分なりの考えをつくる人材。多くの示唆に富んだ内容で一読をおすすめしたい。

技術大国幻想の終わり 畑村洋太郎著 講談社現代新書