高峰秀子

高峰秀子という鉱脈をたどる。彼女の晩年に養女になった著者(著者は高峰をかあちゃんと呼び、高峰もそれを許した)が高峰秀子という類まれな人物を評伝。大女優の生い立ちは厳しい。宝物を掘りあてたような夫・松山善三との暮らしぶりは幸せそうだ。人生を潔く生きるすべは、金の亡者となった養母との確執から培われたのか? 凛とした生き方、毅然としたところに感服する。生活を共にした人にしか描けない人物像がそこにある。

高峰秀子の捨てられない荷物 斎藤明美著 文春文庫