四雁川流景

四雁川周辺に暮らす人々の物語(短編集)、全部で6編。すべての作品に四雁川の流れが登場する。埼玉県ではないかと思われる土地になぜか懐かしさを感じる。僧侶でもある著者ならではの視点で描かれたそれぞれの暮らしぶり。村上春樹の短編集の読後なのでその違いを感ずる。村上のドライでインターナショナルな感じに対して、和の世界で抹香臭さも感じる。でもなかなかの佳作で味わい深い。

四雁川流景 玄侑宗久著 文藝春秋