イケアとスウェーデン

イケアとスウェーデンは共存関係にあるというのがこの本の言いたいところ。福祉国家スウェーデンというイメージとスウェーディッシュ・デザインをうまく融合してイケアは成長してきた。企業と国家が相互補強するソフト・パワーの効果を描いている。イケアの企業イメージ、スウェーデン社会民主主義的なイメージはwin-winの関係にある。2008年の北欧ツアーで泊まったホテルの前がイケアの旗艦店(ストックホルム・クンゲンスクルバ店)だった。その規模の大きさと展示方法、カタログの斬新さ、企業としての物語、合板材とノックダウン方式、フラットパケージ(L型レンジ1本とボルト・ナットで組み立て)などに圧倒されそれ以来のイケアファンだ。僕もイケアのチェアを使っているが、イケアがこのままでいいのかについては少し懸念もある。デザインのオリジナリティということ。無印良品ニトリなど廉価家具が普及してきた今、オリジナリティが問われると思う。今日のニュースでイケアが同一労働・同一賃金に踏み切ったことを伝えていた。その企業姿勢と企業風土は評価したい。

イケアとスウェーデン S・クリストフェション著 新評論社