夫婦の散歩道

今はなき吉村昭の奥さんである作家・津村節子の夫との思い出を中心にしたエッセイ集。 吉村昭の凄絶(せいぜつ)な闘病生活を描いた私小説が別にあるそうだが、このエッセイではよき思い出、若き日の同人誌時代の苦闘、作家としての綿密な取材、生活ぶり、一緒に行った旅(あらかた夫の取材旅行に同行)を妻の立場から描いている。井の頭公園に隣接する自宅まわりや吉祥寺での生活も。この間、井の頭公園を散策してきたので親しみをもって読んだ。弁財天の向こうに自宅があったのだ。吉村昭の作品はいくつか読んだ(破獄、戦艦武蔵、零式戦闘機、漂流 、長英逃亡など)けれど、津村節子の作品とは疎遠だ。このふたりの作品群は鉱脈のようだ。読み繋いでいきたい。さっそく読みたいのは、三陸海岸津波ポーツマスの旗。

夫婦の散歩道 津村節子著 河出書房新社