捨てる女

僕が読むエッセイは女性作家のが多いが、内澤旬子さんもそのひとり。「センセイの書斎(イラストルポ 本のある仕事場)」は印象深かった。妹尾河童の流れを汲むイラストだけれど、河童流より書き込みがもっと緻密な感じ。女性イラストレータというとナンシー関がいて内澤旬子さんにもそんなイメージ(男っぽい文章から)を持っていた。視点がユニークでやることも面白い。どんな人かと人物画像を見たらなかなか魅力的な人だ。でもその文章とやることはとびきり飛んでいる。この本でも乳がん治療のあと心機一転捨てまくる(配偶者まで)。蒐集した膨大な本と資料を始末。自作イラスト原画まで捨てる。その断捨離ぶりのレポート。トイレットペーパーまで捨てる徹底ぶり、ペーパーの代わりに手でお尻を洗う方法までレポート。読みながら吹き出すことしばし。あとがきにある「物を捨てすぎた」との言葉に共感を感じた。「明らかに捨てすぎてしまった・・・・あれもこれも手放すべきでなかった」と。「やりすぎ注意」とのこと。僕にも参考になったが後の祭り。

捨てる女 内澤旬子著 朝日新聞出版