アスベスト考

アスベスト禍に対しての最高裁判断は、国と建材メーカーの責任を認めた。被害者救済に向けて一歩を踏み出す。アスベストというと僕もちょっと胸の痛みを感ずるものがある。1970年代 プレハブ住宅の設計に携わっていた。アスベストは耐火性(不燃材) 断熱性(保温材) 防音性(遮音材)として便利に使われていてポピュラーだった。建材メーカー ニチアスともお付き合いがあったし採用もした。アスベストは吹き付け剤や石膏ボートのつなぎ材としても多用されていた。健康を損なうことなどつゆ知らず積極的に採用していた(コストパーフォーマンスよかったから)。僕が敬愛する作家 佐伯一麦さんは 20代に電気工をしていてアスベスト被害をうけて喘息に苦しんでいた。それは自伝的な小説(私小説)やエッセーに書かれていて知っていた。水俣病もそうだったけれど被害者救済になんと長い時間がかかることか。経済優先の考え方はコロナ禍でも同じだ。人間は懲りないものだなあ。

今朝の天声人語ではこのことを採り上げていた。痛恨と鎮魂の気持ちを表すために紹介されている本を読もうと思う。

石の肺 僕のアスベスト履歴書 佐伯一麦著 岩波書店

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