悩のなかの水分子 中田 力著 紀伊国屋書店

新聞の書評が頭に残っていて、店頭で見つけたとき「読んで見ないか」と言われたような気がした。
しばらく積読状態だったが、読み始めたら止まらない。
不思議な魅力に取り付かれた。
記述は難解で、ひとつひとつの理解はほど遠い。
しかし、びっくりする展開が続く。まるで推理小説の謎解きのようだ。
全身麻酔が脳のなかの水分子の結晶化によるというポーリング理論をスタートに、
意識・こころのメカニズムを悩活動から捉えようとする。
水の特性の不思議、人間の脳機能がその水の特性に依存していること。
確率論、エントロピー、熱力学、複雑系非線形理論、渦理論、
悩が軽いわけ(悩のなかで熱を運ぶ流体はガス状であること、発泡スチロールのようなマトリックス構造)などなど。
悩神経生理学からは正統派とは認められていないようだが、その展開はまるでドラマを見ているようだ。