似顔絵論

2つの似顔絵論の読みくらべ。
似顔絵    山藤章二 岩波新書
似顔絵物語 和田 誠  白水Uブックス
当代似顔絵界の巨匠ふたり。


山藤さん
似顔絵は「そっくり絵」ではない。人物論であり批評だ。
描かれた本人は苦笑する。
うまいとかへたとかよりもその人の感じがでているか、センスが勝負。
川柳の精神そのものが、似顔絵の精神。
添える言葉が秀逸。ハイレベルな知的遊び。
ブラックアングルだ代表作だが、似顔絵塾の塾長として似顔絵文化を引っ張った功績も大きい。


和田さん
あの独特の線。温かみのある線。
少ない線でキャラクターをだす技量はすごい。
和田さんの似顔絵論は薀蓄が深く、実体験からの話は幅が広く濃い。
映画を語らせたら止まらないように、自らの体験を語り面白い。
描いた相手の反応、いろいろなバリエーションの和田絵の誕生、山藤論と自分との比較・・・・・。
似顔絵上達法も伝授。手の内を明かしてくれた。
綽名をつけるように特徴を捉え拡大・カリカチャアライズする。
点と線、肝心なのはバランス。
描き足りないように描く。


それにしても、両人とも才人だなあ。