仁義なき宅配

ここ数年通販ビジネスが盛んになっている。その分宅配便の利用頻度が増してきている。わが家もその恩恵に浴している。やってくる宅配業者も変遷を感じていた。ヤマトがメイン、日本郵政がそれに次ぎ、佐川は後退気味だ。この本を読むと宅配業界の裏側が見えてくる。佐川はアマゾンとの契約を切ったのだった。今はヤマトが担っている。著者はヤマトの羽田クロノゲートへ潜入、セールスドライバーとの伴走をして現状報告をしている。すさまじい職場だ。この業界の実態報告もわかりやすい。宅配は郵便小包に変わって個人から個人への配送からスタートしているが、今それは全体の10%ぐらい、残りは企業から個人、企業間の配送だとのいう。いまや社会インフラとして欠かせない存在だ。しかし送料無料の裏に過酷な経営環境がある。過当競争の果ての価格低下、時間指定、再配達の苛酷さである。著者はこのままだと制度疲労をきたすと結論づけている。まさに仁義なき戦場。いつも夜8時すぎに持ってきてくれるヤマト宅急便に感謝しつつ危うさを感じている。

仁義なき宅配 横田増生著 小学館