諏訪式

宇野重規さん(東大教授)の書評に惹かれた。諏訪という土地柄を綴った風土記セイコーエプロンやヤシカ 三協精機といった精密機械工業の集積、岩波書店はじめとする出版社創業者を輩出する文化集積のエリアだ。一方 黒曜石や縄文文化の地であり御柱祭の歴史もある。僕が通った蓼科への通り筋としても親しみを感ずる。諏訪湖を中心にした地域に対して山裏は茅野市 八ヶ岳山麓を指す(この両方を合わせて諏訪という)。著者はここを語り出したら止まらない。つい付き合って寒天製造まで読むことになった。こうやって読んでいると「諏訪式」の意味するところがわかってきた。黒曜石も精密機械もこの地域の産物は軽薄短小で交易しやすい。山国にあって発展したのは交易による。それを可能にしたのが諏訪式という考え方。残り 1/3 読み通してしまうのが惜しい気がしている。

諏訪式 小倉美恵子著 亜紀書房

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