川の光


川の光 松浦寿輝著 中央公論新社
3匹の野ネズミ(お父さん、タータとチッチの兄弟)の冒険物語。
童話というより、長編冒険小説である。
「冒険者たち、ガンバとその仲間」を思いおこす。
川の造成工事のため、川辺のすみかを失った3匹が新天地をもとめて旅する。
数々の試練が待ち受けるが、彼らの智恵とまわりの仲間の助けでクリアしてゆく。
スリルと心温まるエピソード。
僕は多摩川(小説の川より大きすぎる川だが・・)を思い浮かべながら読みすすめた。
川の流れとまわりの自然、押しよせる都市化・・・・、動物の視点から
そのうつろいが伝えられる。
最後に作者は「自分は川だった」と告白する。
ともかく、いっきに読んだ。
そして心に温かいものが残った。
登場人物(?)の後日譚が書かれているが、これからも彼らがどう暮らしているか思いめぐらすだろう。