ジヴェルニーの食卓

マティスピカソドガセザンヌ、モネといった印象派にまつわる4つの短編小説。それぞれその画家の身近な女性の目を通して画家の人となりや苦悩が語られる。
マグノリアのマリア(家政婦、のちに修道女)が目にしたマティスの日常。訪ねたピカソ。ふたりの親しげな様子。ニースは色彩にあふれている。昔訪ねたマティス美術館を懐かしく思った。
踊り子の彫刻や蝋で作られたミニチュアがドガの不思議な構図の謎を解く。ドガを見つめたのは親交のあった女流画家・カッサト。
セザンヌを温かく支援した画材屋のタンギー爺さん(ゴッホが人物画を残心している)。タンギー爺さんの娘がセザンヌに宛てて手紙を書く。彼が印象派を世に送り出した。
モネを語るのは、モネが再婚したアリスの娘・ブランシュ。幼い時からモネの背中を見て寄り添ってきた。モネは彼女にとって義父でもある。モネが自然の中で絵筆を走らせる。モネが愛した一家が描かれる。「睡蓮」を描くモネは白内障から視力を失いフランス国家への寄贈を諦めかけるが、手術でそれを取り戻す。クレマンソーとの交友もすばらしい。オランジェリー美術館やマルモッタン美術館にこの絵を見に出かけたことを懐かしむ。
この印象的な小説を皆さんにぜひおすすめしたい。

ジヴェルニーの食卓 原田マハ著 集英社