倉本聰は、僕より7歳年上で戦前生まれだ。TVドラマの脚本家として一家をなした。「北の国から」に胸を打たれ富良野を訪ねたこともあった。なかなか骨のある人物だと思っている。いくつか他のTVドラマや映画もみてきた。
この本は8篇の詩のようなエッセイのような文章で構成されていて、彼の子供時代の匂いとか日本人の生き方を伝えようとしている。僕も少しだけ共通認識を持つ。でも僕のは終戦時や戦後の復興時のものはほとんどない。祖父母、両親からの伝聞が疎開の記憶みたいになっている。著者のその時代の日本人を伝えたいという気持ちはよくわかる。戦後70年で日本人はすっかり変わってしまった。東京タワー(1958年竣工)の頃が変曲点だったように思う。高校の教室の窓から鉄塔が伸びていくを眺めていた。この本はその頃のことを懐かしく思い出させる。