相国寺

相国寺住職の大典和尚が若冲のサポート役だったので、動植綵絵30幅は相国寺に寄進されたのだが、幕末に財政難に陥った寺はそれを宮内庁に買い取ってもらって金1万円を得て難事を切り抜けたそうだ。金閣寺銀閣寺を末寺として抱える臨済宗大本山。法堂は本堂がわりの建物、正面には釈迦三尊像(運慶作と知ったのはガイドを見てから)、天井には鳴き竜として有名な蟠龍図が描かれている(狩野光信作)。龍は回廊のどこからでも見るものを睨み付けるとのこと。正面左手で手を叩くと反響した。
境内には、寺宝を収納・展示する承天閣美術館がある。動植綵絵30幅は複製(コロタイプ印刷)が展示されていた。他にいくつかの水墨画。草臥れていたせいか水墨画の良さはわからなかった。
方丈の庭はちょっと変わった構成をしていた。手前に大きな川の流れがあった。夢窓国師が関与したらしい。杉戸絵に白象図があった。当時動物の情報は結構あったらしい。それと観音菩薩画像(遠塵斎筆の掛け軸)が興味深かった。絵柄(ラインと彩色部分)が細かい経文で描かれている。その細密なこと超微細の世界。若冲の細密さは背景にこういう世界があったのだ。遠塵斎は1734-1810年若冲は1716-1800年だから同時代人。加藤信清は江戸後期の仏画家で遠塵斎と号した。
伊藤若冲

法堂・天井の蟠龍図

承天閣美術館

観音菩薩画像