フラット化する世界 (トーマス・フリードマン 伏見威蕃訳 日本経済新聞社)

僕たちはフラット化した世界に住みながら、その利便性・経済性を享受していることを
あまり知らないで過ごしている。
もの作りの中国・アジアへのシフトが止まらない。
サービス分野の仕事や知的分野の仕事もインドや中国にアウトソーシングされている。
インドのコールセンター、事務処理(会計処理からカルテづくり)、医療診断、技術開発までも
世界分業になってアウトソーシングされる。
デジタル化できるものはすべてもっと賢いか、安いか、あるいはその両方の生産者にアウトソーシングされる。
場所を選ばない。ベースはIT技術、なかでも光ファイバー網である。
世界がフラット化した。
ウォルマートやグーグルなどの有名な事例のほかに
UPSのインソーシング(代金回収、滑走路末端サ−ビス(商品特注対応)、PC修理業務のとり込み)など
目を見張るような事例がいくつも紹介されている。
このことで先進国の労働者は仕事を奪われて困窮しているか。
win-win の関係が可能だと著者はフラット化論を展開している。
下巻ではこのフラット化された世界でいかに生き残っていくかを指南している。
その人にしかやれないこと、その地域でしかやれないことがポイント。
画一を目指した教育は、人と違うことを評価する教育にしていかなければならない。
もっとも重要な能力は「学ぶ方法を学ぶ」という能力。好奇心と熱意がさらに重要だとしている。

もうひとつの気づきは、物流・ネットワークの重要性。
光ファイバーにのるデジタル情報がフラット化のメインだが、物理的なモノ(商品)の動きには
合理的なロジスティックスが必要になる。
FedexやUPS、ヤマト、佐川の動き、コンビニ,貨物物流の動向が注目される。

世界は大きく変革している。変革のスピードもいままでにない早さだ。
もう少し長生きして変革の様子をみたいものだ。この本は勇気を与えてくれる。