フガフガおじさん

葡萄酒か、さもなくば銃弾を 手嶋龍一著 講談社
著者はNHK海外特派員・ワシントン支局長として多くの国際政治に立会い、
TVレポートを送ってきた。
なかでも9.11のときのレポートは強く印象に残っている。
甘いマスク(柔らかい顔立ち)とフガフガした物言いが記憶に残る。
この風貌に反して、情勢分析は鋭く、核心をついていた。
何冊かの著書を読んできた印象だ。
この本は国際政治と日本外交に登場した29人の短い人物論。
そして、その人物を彷彿とさせるエピソードからなる。
ヒラリー・クリントンレーガンケネディキッシンジャーなど面白く読んだ。
日本人の近藤元次、林貞行、麻生太郎なども「あれっ」と思わせるものがあった。
ヒル次官補、ライス、小泉純一郎北朝鮮への判断の甘さを糾弾している。
この部分を読むにつけ、拉致の理不尽さを思い返した。
外交におけるインテリジェンスの重要性、アメリカという国の自国主義を痛感。
ところで、この本の挿絵として登場人物の似顔絵がユニークでいいのだけれど、
どれも似ていないというのが可笑しい。