消せるボールペン

「消せるボールペン」として超大ヒット商品(全世界で10億本を売った)となった FLIXION Ball。その30年におよぶ開発物語。開発したパイロット・インキは名古屋に本拠を置く(御器所)地元企業だ。その原理は香嵐渓の紅葉をみた中筋賢一の疑問(セレンディピティ)から始まる。色変化と変色温度を自在に設定できるインクをメタモカラー(メタボではない)と呼ぶが、ラテン語のメタモルフィーゼ(変化する)からの命名。お風呂に入れると色が変わる玩具とか筆記具メーカーの中では傍流を歩んできたという。それが大ヒット商品を産んだ開発秘話を読んで、胸を熱くした。
僕も最近使い始めたところだ。FLIXION Ball Slim 0.38 は手帳用に至極便利。小さな字でもOKだし消せるところが凄い。何年か前にも使ったことがあったが、キャップ付きで消すときにキャップを取らなくてはならず煩わしかった覚えがある。FLIXION Ball Slim 0.38 はサイドにノックがあって、筆尻が消しゴムになっているのでその煩わしがない。近くのコンビニで買える。奥さんに数独用に薦めてみたら大好評だった。
ヨーロッパでは小学校から万年筆・ボールペンを使わせるそうで、消す文化がある。筆記具は書くペンと修正ペンと修正後用のペンの3点セットが必要だった。そのヨーロッパで大ヒットした。
漫画家やイラストレーターが下書きに鉛筆からこの消せるボールペンに転向しているそうだ。消しゴムで消していた下書き線をドライヤーで一発で消せるようになったから。僕もこの手を使おう。
コピー機用のインクに応用すれば、印刷紙は何度でも使いまわしできるようになる。
僕の場合、文房具フィッチに近い。引き出しいっぱいの筆記具(ホテルのボールペンも集めまくった)をどうしたらよいか困惑している。コンマリ的には捨てまくるより他ない状況なのだ。

「消せるボールペン」30年の開発物語 滝田誠一郎著 小学館新書