新聞ビジネス

規制緩和、ITビジネスという大波を受けて新聞社という怪物がのたうち回っている。
建前の公器を唱え、一方では部数至上主義とわけのわからない広告の世界。
きれいごとと金にまつわる暗部。
新聞社、テレビ局、IT企業のサバイバル戦。
テレビを支配下に置きながら、表舞台から姿を消そうとする新聞社。
その旧体質振り、濡れ手にアワのテレビ体質。
広告を収入源とするときに逃れられない部数至上主義。
効果がきちんとカウントできない広告というモンスター。
筆者は2006年まで毎日新聞の常務だった。
内部告発にも似た新聞ビジネスを問う一冊である。
敗戦の弁ともとれるが、「知の欲求」を担うのは新聞社のもつシステムしかないという
自負をのぞかせる。
「こんな新聞社に正義面(つら)されたくはないな」というのが読後感。


新聞社 破綻したビジネスモデル 河内 孝 新潮新書