(株)貧困大国アメリカ

堤未果さんの「ルポ 貧困大国アメリカ」シリーズの3冊目。
読み終えてタイトルの(株)の意味を理解した。"Yes you can""Change"は選挙のキャッチコピーにすぎなかったようだ。オバマ大統領の施策は1%の超富裕層と99%の貧困層に2極分化を促進。規制緩和はいろいろな産業分野・公的サービスで民営化・ビジネス化が促進されて、一握りの大企業による市場の独占につながった。政治と企業(多国籍大企業)の癒着。1%とそれを後押しする株主至上主義。政治家の大半は1%に買われている。
GM食品(遺伝子組み換え食品)やGM種子のおぞましい実情。養鶏業の状況は目を覆いたくなる。薬づけ、GM飼料づけなのだ。公教育、消防署、警察、地方自治体も民営化し利益優先となった。利益優先といえば刑務所ビジネスが囚人を低賃金労働力とするので失業率をますます拡大する。囚人を多くするための法律も作られていく。グローバル化のなかで日本にもこの波がやって来ることになる。NAFTAFTA・TPPはアメリカ大企業の陰謀だ。もう遅いかもしれないが、TPPには反対しておくべきだった。
衝撃の書、警告の書である。この本の目次を紹介しておこう。
・株式会社奴隷農場
・巨大な食品ピラミッド
・GM種子で世界を支配する
・切り売りされる公共サービス
・「政治もマスコミも買ってしまえ」
・エピローグ:グローバル企業から主権を取り戻す
エピローグに1%の暴挙に99%がなし得るエピソード(鼻をあかす)が載っている。

(株)貧困大国アメリカ 堤未果著 岩波新書